国家のトップの若年化が進むヨーロッパと高齢化が進むアメリカ

国家のトップの若年化が進むヨーロッパと高齢化が進むアメリ

 現在欧米のトレンドとして、ヨーロッパではエリートが若年化し、アメリカでは高齢化が進んでいる。事実、現フランス大統領のマクロンは39歳で当選、イギリスの全首相のキャメロン首相は当時43歳、現オーストリア首相のセバスティアンは26歳で外部大臣になり31歳で首相になった。オーストラリアはともかく、ヨーロッパの中でも中核をなすフランスとイギリスでこのような傾向があることは特筆に値するといえる。

 一方アメリカでは70歳のトランプが大統領になり、対照的である。もちろん、若者が国家のトップに立つ事例は過去に何度もあるが、それは軍事力(暴力)に基づく場合や、王や皇帝の世襲でなる場合だろう。マックス・ウェーバーが言うところのカリスマ的支配と伝統的支配に該当する。そういった事情であれば納得もするが、民主主義が高度に発達している欧米において、特別危機が発生していないと思われる状態では政治家は民意を反映したものであり、欧州と米国の国民の総意として現在の状況が起きていると考えられる。

 

対比が何を意味するのか

この対比ともいえる状況が何を意味するのかについて考えたい。

シンプルに、若者=改革派、高齢者=保守派、と解釈すると、ヨーロッパは停滞している状況に閉塞感を感じており国民は改革を望んでいると解釈できる。いわゆる左翼的(革新的)とも言える。一方アメリカの国民は社会の変化に疲れ、保守的(いわゆる右翼的)になることを望んでいる。

 なぜ保守的になるかというと、国民の中核を占めているWASP(ホワイト・アングロサクソン・サバーバン・プロテスタント)の待遇が悪くなったからだ。アメリカの中心である自分たちの暮らしを犠牲にしてまで、なぜ移民に優しくし、外国への援助(広義では貿易赤字も含まれる)をしなければならないのか、もっと自国民中心主義になるべきではないのか、そういった思いがトランプを大統領にしたと考えられる。

 ただ、ヨーロッパでも移民問題が苛烈化しており、イギリスのEU脱退は移民問題に起因している。そういった観点から、例え若者であっても移民政策に極論を掲げている人が当選しているだけという可能性も捨てきれない。

 以上のことを勘案すると、若年化と高齢化という観点が重要ではなく、極端なものを求めているのかもしれない。トランプは極端であり、若年層のトップを選ぶというもの、極端だから選ばれている可能性がある。つまり、中庸では何も変化が起きないと考えた国民が、何かを起こしてほしいという願いの集大成が、現在の状況を生み出している。

 

上記はただのメモに近い。事実対比そのものはただの偶然であり何も意味がないかもしれない。ただ、それを証明することはできないし、解釈は無限にあるため、この気付き(対比が起きている状況)をベースに考えていきたい。