橋本左内(景岳)は凄い

 「ロンドン狂瀾」という小説を読むと、福井出身の軍人が橋本左内(景岳)を崇拝しているという文があり、気になって橋本左内の本を購入した。

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啓発録 (講談社学術文庫) | 橋本 左内, 伴 五十嗣郎 |本 | 通販 | Amazon

 

内容としては、①15歳で書いた心構えについて、②そして関係者への手紙、③最後に漢詩だ。全ての内容に特筆すべきことがあった。

 まず①だが当時の武士がなよなよしているのを嘆いており、安定した時代が長く続いた事による政治や享楽に没頭する武士を悲しんでいた。一方で商人や農民は一生懸命なので褒めており、また学問のための学問ではなく、世に活かすための学問を重んじており、現実を重視している点に共感を感じた。僕も実学と重んじており、学問のための学問ではなく、実践を通していきたい。

 ②については、国際関係への洞察が非常に優れている点に畏怖の念を覚えた。一つの地球という観点から鎖国は不義理であり、航海術が発達した以上鎖国をすることはそもそも難しい。外交をするとなると弱肉強食の世界なので、国民一体となって軍備を発達させる必要があり、世界的にはイギリスとロシアが圧倒的に強いので、どちらかと同盟を結ぶのが良い。その結果、イギリスと結べば日露戦争、ロシアと結べば日英戦争になるが、一方の強国のサポートがあるので、亡国となることはなく、この戦争をもって強くなる。またこのような外交政策、国内改革を行うには強いトップが必要なため、一橋慶喜を擁立すべき。というのが彼の主張の骨子であり、当時の国際関係・情勢をここまで正しく理解し、今の時代からみても適切な方針を練っていることに畏敬の念を感じた。彼の洞察に西郷隆盛も感銘を受け、尊敬した。20年後の西南戦争後に彼のカバンをみると、橋本左内の手紙が入っていたとのことで、男同士の尊敬の美しさに感動してしまった。

 

 最後に③の漢詩だがとても気になる詩があった。電信によって遠くの地域も隣に感じられ、旅人の望郷の念も感じなくなり、近代技術は世相だけでなく心まで変えてしまうだろう、と述べており、これはまさにIT革命を経験している我々と同じで、90年代からそれを大きく実感している僕にとっては、150年前も同じことがあったのだと、嬉しくなってしまった。

 

 橋本左内について調べてみると、何かしら学ぶことがあるのでぜひおすすめしたい。